【テント泊初心者】登山用(山岳用)テントの選び方のポイント

テント泊
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この記事の対象者

  • 登山用テントの購入を考えている人
  • 登山用テントの選び方を知りたい人
  • 今度お店にテントを選びに行くため、店員さんを質問攻めしたい人
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はじめに

 ここでは、テント泊を始めようとお考え中の方々を対象として、登山用(山岳用)テントの選び方のポイントをまとめます。テントと言っても「ツーリング用テント」「キャンプ用テント」「登山用(山岳用)テント」の様に目的別に種類が分かれています。その中でも登山用(山岳用)テントは、耐風性があり軽量化されている特徴を持っています。山の稜線上にあるテント場では強風が吹くこともあり、耐風性のあるテントを使用しないと命にかかわりますので、是非この登山用(山岳用)テントの選び方のポイントを理解していただき、知識として習得していただければと思います。

選び方のポイント

ポイントその1 シングルウォール/ダブルウォール

 テントには「シングルウォールタイプ」「ダブルウォールタイプ」の2種類があります。「ウォール=壁、仕切り」の意味ですが、まさにその意味の通りであり、シングルウォールタイプはテント本体のみの布地1枚で完成形となり、ダブルウォールタイプはテント本体+フライシートの布地2枚で完成形になります。※フライシートは撥水性のある布地。
 布地1枚タイプか2枚タイプの違いだけではなく、各々メリット/デメリットがありますので、それを下表にまとめます。

タイプメリットデメリット
シングルウォール・軽い
・設営が早い
・雪山へステップアップできる
・暖かい日や雨の日は結露する
・ゴアテックス等の素材が使われているため高級
・前室が無いため靴や荷物は室内に入れる必要あり
ダブルウォール・本体とフライシートの間に空間があり、結露しにくい
・前室があり、靴や荷物を置ける
・フライシートがある分、重くなる傾向
・風があるとフライシートの設営に手間取る
シングルウォールとダブルウォールのメリット/デメリット

 テント場で見かけるのは、ダブルウォールタイプのテントが殆どです。使い勝手を考慮すると、前室が有り結露しにくいメリットが大きいのだと思います。従いまして、初心者にはダブルウォールタイプをオススメします。私が使用しているテントもダブルウォールタイプです。

ポイントその2 自立式/非自立式

 テントには「自立式」と「非自立式」の2種類があります。自立式は、ポール(骨組み)だけでテントの形になり、組み立てれば倒れない作りになっています。ドーム型テントなどが自立式に当てはまります。一方、非自立式はポールだけではテントの形にならず、張り綱を使用してテントの形にする必要があります。ツェルトが非自立式に当てはまります。
 自立式、非自立式のメリット/デメリットを下表にまとめます。

タイプメリットデメリット
自立式・設営が簡単・収納時はポールとテント本体でそれなりの大きさになる
非自立式・軽い
・収納時にコンパクトになる
・設営に時間とテクニックを要する
自立式と非自立式のメリットとデメリット

 非自立式は、極力荷物を減らすウルトラライト志向の方々に向いているテントと言えると思います。テント場で見かけるのも殆どが自立式テントになります。従いまして、初心者には自立式テントをオススメします。私が使用しているテントも自立式です。

ポイントその3 入り口の場所

 テントには、「短辺入り口」タイプと「長辺入り口」タイプの2種類があります。1人用テントや2人用テントは、基本的には底が長方形になっており、その短辺と長辺のどちら側に入り口があるタイプなのかの違いです。
 テントは入り口を風下に向けて設営するのが基本となりますが、長辺入り口タイプは、短辺入り口タイプと比較すると風を受ける面積が増えるため、強風に弱いと言われています。が、この点については、実際には稜線のテント場ではどちらのタイプも使われているため、さほど気にしなくて良いと思います。
 短辺入り口と長辺入り口のメリット、デメリットを下表にまとめます。

タイプメリットデメリット
短辺入り口・テント場の縦長の場所にも設営できる・ダブルウォールの場合に前室が狭い
・出入口が狭い
・テント内で180度向きを変える必要あり
長辺入り口・ダブルウォールの場合に前室が広い
・出入口が広い
・縦長の場所への設営は厳しい(出入りし難い)
・2人用の場合に奥の人は出入りし難い
短辺入り口と長辺入り口のメリットとデメリット

 短辺入り口タイプと長辺入り口タイプのどちらにするのかは、非常に悩ましいポイントになります。私は長辺入り口タイプを選びました。理由は、前室が広いことと、私の身長は概ね180センチなのですが、短辺入り口だとテント内でグルっと向きを変えるのが面倒だろうと想定したためです。
 どちらのタイプを選べば良いのか迷って決められない場合は、長辺入り口タイプを選択しておけば大丈夫でしょう。

ポイントその4 大きさ(使用人数)

 テントには使用人数に応じた大きさがあり、実際に使用する人数に合わせた大きさのテントを持参する必要があります。というのは、テント場は限られたスペースであり、昨今の登山ブームによりテントを張る場所が不足しがち、いや、不足しているのが現状です。テントを張る場所が無い場合は、テントを持参していても山小屋に宿泊するしかありません。
 この様な状態を回避するために皆さんが意識高い系登山者になる必要があり、単独登山の場合は1人用テントを使用、複数人で登山の場合は2人用テントや3人用テントを使用する必要があります。例えば、3人で登山に行く場合は、1人用テントを3張りではなく2人用テント+1人用テントとか、3人用テント1張りなど、テントを張る場所を少なくする努力をしましょう。

ポイントその5 重さ

 山岳用テントの特徴としては、軽く作られていることです。テント泊となるとテントだけでなく、寝袋、マット、食材、調理器具など、持ち物が増えて重くなります。従って、持ち物一つ一つの重さを軽くすることで総重量を減らすことが重要になります。

 最近のダブルウォールテントの重さのおおよその目安としては下記になります。この目安よりも明らかに重いテントは、山岳用ではなくツーリング用等の分類になるかもしれませんが、あくまでも目安として認識して頂ければと思います。
 ・1人用: 1.3~1.0キログラム程度(1.0キロ以下のモデルもある)
 ・2人用: 1.8~1.5キログラム程度

ポイントその6 素材

 テントの布地に軽量で高強度である「リップストップナイロン」を採用しているテントが殆どだと思います。この布地の厚さを表す単位が「D(デニール)」で、30Dとか75Dなどと表記されています。数値が小さいほど薄く軽くなります。

 軽いテントは、このデニールの値が小さいものが多いです。つまり軽さ重視で薄い布地を採用しているモデルとなっています。リップストップナイロンは高強度であるといっても、鋭利な物体が当たったり擦れたりすると破損することがあります。特に「擦れ」には弱い素材です。
 軽さばかり重視すると、テントを設営する場所に石などが無いか神経質になってよ~く見る必要が出てきます。軽さと丈夫さはトレードオフな関係になっていることを認識しておく必要があります。次のポイントにあげるフットプリントを使用することで、このリスクは回避できます。

ポイントその7 フットプリント(グラウンドシート)

 フットプリント(グラウンドシート)とはテントの下に敷くシートのことを言い、テント本体に同梱されているモデルと別売りになっているモデルがあります。フットプリントの必要性についてですが、最近のテントは薄い布地を使用しているモデルが増えてきており、リップストップナイロンは擦れに弱いため、私はフットプリントを使用することオススメします。
 従いまして、フットプリントが別売りのモデルの場合は、テント本体購入時にそのテント専用のフットプリントも併せて購入されることをオススメします。テント専用のフットプリントと明記したのは、大きさが異なっていると、例えばフットプリントが大きくてフライシートから飛び出している場合は、雨が降ってくると雨水の受け皿になってしまい、フットプリントの役目をなさないためです。

 フットプリントを使用する目的としては、テントの底を保護することと、テントの底を防水することになります。それと、テント本体の底が汚れないため、片付けが楽になります。フットプリントは汚れますが、家に帰ってから水洗いすれば綺麗になります。テントの底を綺麗にするよりも、はるかに簡単です。

ポイントその8 付属ペグの本数

 テント本体とフライシートをペグで止めるのに、付属のペグの本数で足りるのかを確認しておいた方が良いです。足りなければペグの買い増しをしておく必要があります。

 テント泊に行く前に、ご自宅や公園などで実際にテントを張ってみた際にペグの本数が充足しているかを併せて確認しておかれることをオススメします。

登山用(山岳用)テントメーカー

 登山用(山岳用)テントメーカーが製作している山岳用テントを購入しておけば、まず間違いありません。下記に登山用(山岳用)テントメーカーを順不同で記載しておきますので、テント選択時の参考にしていただければと思います。

メーカー代表的なダブルウォールモデル
アライテント日本・エアライズ
・トレックライズ
モンベル日本・ステラリッジ
ダンロップ日本・VS
プロモンテ日本・VL
ヘリテイジ日本・エスパース
ファイントラック日本・カミナドーム
NEMO(ニーモ)アメリカ・タニ
アトム
MSR(エムエスアール)アメリカ・ハバ
・フリーライト
ザ・ノース・フェイスアメリカマウンテンショット
ビックアグネスアメリカ・フライクリーク
ヒルバーグスウェーデン・ソウロ
登山用(山岳用)テントメーカー一覧

まとめ

 購入前に、どの様なテント泊登山をするのかを良くイメージすることが大切です。テントは高価な買い物になりますので、そう簡単に買い替えることはできないと思います。雪山でのテント泊もしたいならば、初心者であっても雪山対応しているモデルを選択しておく必要があると思います。
※趣味に多額の予算を確保できる人ならば、3シーズン用と雪山用に複数のテントを購入することも可能かと。

 雪山はやらないから3シーズン用で良ければ、ダブルウォールテント+自立式+長辺入り口タイプのテントを選んでおけば間違いないと思います。もちろん短辺入り口でも間違いありません。テント場が混雑している場合は、短辺入り口タイプならば縦長の場所に設営することが可能となります。

 テントを選ぶ時にやってはいけないことは、値段だけで選ぶことです。ネットショップで中華製の安いテント等が販売されていたりしますが、登山、つまり山岳での使用に耐え得るクオリティーを有しているのかを見極めないとダメです。登山は「自然との対峙」になることを忘れない様にしてください。

 それから、森林限界を超えない場所であれば、ツーリング用やキャンプ用のテントでも使用可能(重いですけど)と思いますが、森林限界を超え、山の稜線にあるテント場に行ってみたくなるのが登山を趣味とする人達の性分であるため、初めから山岳用のテントを購入されることをオススメします。

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