登山は自然との対峙であり、概ね5~8時間、体を動かし続けます。
その時、常に身に着けている服装の選び方で快適性が大きく変わってきます。
ここでは、服装の素材となる繊維の種類とその特徴をまとめますので、是非とも知識として吸収していただき、今後の服装選択時に有効活用して頂ければと思います。
繊維の種類
繊維には、大きく分類すると「天然繊維」と「化学繊維」の2つがあります。各々さらに分類することができ、次のように分類されます。
- 天然繊維
- 植物繊維: コットン(綿)など
- 動物繊維: ウールなど
- 化学繊維
- 再生セルロース繊維: レーヨンなど
- 半合成繊維: アセテートなど
- 合成繊維: ナイロン、ポリエステルなど
繊維の特徴と登山目線での評価
さて、繊維の種類を整理できたところで、繊維には各々特徴がありますので、そこを下記の表にまとめます。さらに登山目線での評価も追記しました。
種類 | 素材 | 吸水性・吸湿性 | 速乾性 | 肌触り | 保温性 | 登山目線での評価 |
---|---|---|---|---|---|---|
コットン(綿) | 植物繊維 | ○ | × | ○ | ○ | 【×】吸水性が高く速乾性が悪いため、水分の蒸発に伴い体温が奪われるため、登山には適さない |
メリノウール | 動物繊維 | ◎ | ○ | ○ | ◎ | 【◎】吸湿性が高く、保温性も高く、速乾性もあり、防臭性もあるため、登山に適している |
レーヨン | 再生セルロース繊維 | ◎ | △ | ○ | – | 【×】シルクの様な肌触りや光沢に似せて開発された素材であり、水に弱いため登山には適さない |
アセテート | 半合成繊維 | ○ | – | – | ○ | 【×】光沢、滑りの良さ、風合いなどのデザイン重視の用途に向いている。登山系の用途ではない。 |
ナイロン | 合成繊維 | × | ◎ | – | – | 【◎】軽くて、耐摩耗性が高く、防風性にも優れており、登山のアウター系では定番 |
ポリエステル | 合成繊維 | × | ○ | ○ | – | 【◎】速乾性に優れているため、登山では定番中の定番。インナー、ミッド、アウター系のどこでも用いられている |
ポリウレタン | 合成繊維 | – | – | – | – | 【○】ゴムの様に伸縮性が高い特徴があり、単独で使われることは殆どなく、ポリウレタンコーティング、ポリウレタンラミネート加工などで他の繊維と組み合わせて用いられる。登山ではアウター、ザックなどに使われているが、寿命が2~3年と短いのがネックとなる |
アクリル | 合成繊維 | × | – | ◎ | ◎ | 【○】吸水性、保湿性がないためインナーには向かないが、ウールに似ているためその代替えとしての用途になる |
この表から、「メリノウール」「ナイロン」「ポリエステル」「ポリウレタン」「アクリル」が登山に適した繊維であることが分かります。
インナーであれば、吸水性・吸湿性が高く、速乾性が高く、肌触りの良い「メリノウール」、または吸水性は良くないが「ナイロン」も向いていることが分かります。
もしくはコットン(綿)とナイロンの良いとこ取りをした混紡なら、吸水性、速乾性、肌触りも良くインナーに向いていることが想定できます。
コットン(綿)100%をインナーに着ると夏は涼しそうな気がしますが、速乾性が悪く長時間体温が奪われるため向いていないことも分かります。
まとめ
「繊維の特徴と登山目線での評価」の表を頭に入れていただき、服装を選ぶ時に有効活用して頂ければと思います。
登山用品店やスポーツ用品店に行った際に、登山やハイキング用ウェアを選ぶ際に楽しみが増えることでしょう。
また、上記の様な専用のウェアは結構高価であるため、繊維に関する知識を保有していると、ワークマンやユニクロ等で登山に向いているウェアを見つけることも可能となります。
是非、知識として身に着けていただき、有効活用していただければと思います。
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