APS-Cコンデジ FUJIFILM XF10を登山観点で分析してみた

登山カメラ
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FUJIFILM XF10は、2018年8月23日に発売された、イメージセンサーにAPS-Cを採用し、35ミリ判換算で28ミリF2.8のレンズを持つコンパクトデジタルカメラです。

鋭い人はもうお分かりかと思いますが、このスペックだけ見るとRICOH GR3と同じコンセプトの商品なんじゃないかと思えてきますね。

そう、APS-Cサイズの大きなイメージセンサーと、単焦点の広角で明るいレンズを採用し、表現力豊かな撮影ができるカメラを登山で使うという選択は、私は賢い選択だと思います。

それとなんと言っても、APS-Cセンサーというコンパクトデジタルカメラにしては大きなイメージセンサーを採用しているモデルでありながら、50,000円程度で購入できるのはお財布にも優しいです。

この様なカメラを登山というカメラにとっては過酷なフィールドに持ち出し、ガンガン使って使い倒すという考えも「あり」だと私は思います。

本体数十万円+レンズ数十万円の高級一眼レフ+三脚を山頂まで運び、渾身の一枚を撮影するのも素敵だと思いますが、登山口からパシパシ撮りまくって偶発的な傑作が撮れてしまうのも良いんじゃないでしょうか。

ここでは、そのFUJIFILM XF10を登山観点で分析してみます。

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この記事の対象者

  • 登山に使えるコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)を探している人
  • 登山で一眼レフを使っているが、重いのが嫌なので大きなセンサーのコンデジへの買い替えを検討している人
  • XF10とGR3のどちらが良いか迷っている人
  • XF10を購入するのに、あと一押し必要な人
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XF10の主要スペック

FUJIFILM XF10の主要スペックを下表にまとめます。詳細なスペックはXF10のホームページを参照ください。富士フィルムXF10のホームページはコチラ!

項目スペック
撮像素子種類:正方画素CMOSセンサー、サイズ:23.5mm×15.7mm(APS-Cサイズ)
有効画素数2424万画素
感度ISO200~12,800
手振れ補正なし
レンズ18.3ミリ(35ミリ判換算で28ミリ相当)、F2.8
ファイル形式静止画:RAW(14bit)、jpeg(Exif2.3準拠)、動画:MOV
撮影距離約10センチ~∞
シャッタースピード1/16000~4秒
モニター3.0型TFTカラーLCD(104万ドット)
無線LANIEEE 802.11b/g/n
Bluetoothあり
撮影可能枚数330枚
外形寸法約112.5(幅)×64.4(高)×41.0(厚)ミリ
重さ約241.2グラム(本体のみ)
約278.9グラム(バッテリー、SDカード含む)
フィルムシミュレーションモード11モード
PROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、ASTIA/ソフト、クラシッククローム、PRO Neg.Hi、PRO Neg.Std、モノクロ、モノクロ+Yeフィルター、モノクロ+Rフィルター、モノクロ+Gフィルター、セピア
デジタルテレコンバーター35ミリ、50ミリ
FUJIFILM XF10の主要スペック

XF10はコンパクトデジタルカメラというジャンルに属しますが、スペック的には28ミリの単焦点レンズを持つミラーレスカメラと言った表現がピッタリかと思います。

イメージセンサーは、富士フィルム独自のX-Trans CMOSセンサーではなく、ベイヤーセンサーが採用されています。

X-Trans CMOSセンサーは人物の撮影や味のある色表現に向いていると言われており、ベイヤーセンサーはX-Trans CMOSセンサーと比較すると色が鮮やかに発色すると言われています。

と、難しい方向に話しが行きかけましたが、XF10はRAWファイルでの記録ができるため、パソコンの現像ソフトを使用して自分好みに調整することが可能となりますので、センサーの種類についてはさほど気にしなくても良いと私は考えます。

それと、富士フィルムのカメラの特徴とも言える「フィルムシミュレーションモード」が搭載されている点も見逃せません。

このフィルムシミュレーションモードが使いたいからということで、富士フィルムのデジタルカメラを買い続けるファンがいらっしゃるほどです。

主要スペックを眺めていると、おや、RICOH GR3と概ね同じじゃないかと察した方がいらっしゃるかと思います。では、GR3と比較してみましょう。

FUJIFILM XF10 と RICOH GR3の主要スペック比較

項目XF10GR3
撮像素子種類:正方画素CMOSセンサー、サイズ:23.5mm×15.7mm(APS-Cサイズ)種類:原色フィルター/CMOS、サイズ:23.5mm×15.6mm(APS-Cサイズ)
有効画素数2424万画素2424万画素
感度ISO200~12,800ISO100~102,400
手振れ補正なし撮像素子シフト方式(3軸4段)
レンズ18.3ミリ(35ミリ判換算で28ミリ相当)、F2.818.3ミリ(35ミリ判換算で28ミリ相当)、F2.8
ファイル形式静止画:RAW(14bit)、jpeg(Exif2.3準拠)、動画:MOV静止画:RAW(14bit)、jpeg(Exif2.3準拠)、動画:MPEG4
撮影距離約10センチ~∞標準:約10センチ~∞、マクロモード:約6~12センチ
シャッタースピード1/16000~4秒1/4000~30秒
モニター3.0型TFTカラーLCD(104万ドット)3.0型TFTカラーLCD
無線LANIEEE 802.11b/g/nIEEE 802.11b/g/n
Bluetoothありあり
撮影可能枚数330枚200枚
外形寸法約112.5(幅)×64.4(高)×41.0(厚)ミリ約109.4(幅)×61.9(高)×33.2(厚)ミリ
重さ約241.2グラム(本体のみ)
約278.9グラム(バッテリー、SDカード含む)
約227グラム(本体のみ)
約257グラム(バッテリー、SDカード含む)
デジタルテレコン35ミリ、50ミリ35ミリ、50ミリ
XF10とGR3の主要スペック比較

差があるスペックをピンクで網掛けしてみました。GR3が少し小さく、軽く、手振れ補正が付いた高感度カメラって感じでしょうか。

XF10は撮影枚数がGR3の1.5倍以上ありますね。

でも、XF10はGR3の半額程度で購入することができるため、費用対効果は高いモデルと認識して良いと思います。私もこのXF10が欲しくなってきました。

でも、GR3って本体手振れ補正が付いてるにもかかわらず、XF10よりも小さくて軽いって凄いですね。

GR3については「APS-Cコンデジ RICOH GR3を登山で使うという賢い選択」のページでまとめていますので、ご興味がありましたらお読みください。

XF10を登山観点で分析してみる

APS-Cサイズのイメージセンサー

デジタルカメラのキーデバイスであるイメージセンサーが大きいと、多くの光を取り込むことができるため階調豊かな表現が可能となります。

これは、イメージセンサーのサイズが大きい方が、1つの撮像素子により多くの色情報を盛り込むことができるためです。

登山向けカメラ選びのポイントをこちら(↓)のページにまとめていますので、読んでみてください。

これだけは知っておきたい登山用カメラ選びの基本!失敗しないカメラ選びのために

28ミリF2.8のレンズ

イメージセンサーと一体で開発・最適化された、28ミリの広角単焦点フジノンレンズが採用されています。

APS-Cというコンデジにしては大型のイメージセンサーに最適化されたレンズが使われているということから、画像にこだわっていることが伺えます。

APS-Cの大型センサーを採用しているコンデジでは、35ミリスタートのレンズが多いのですが、35ミリだと風景写真では物足りなさを感じることでしょう。

28ミリという広角レンズは風景写真には必要な画角になると思います。

登山の風景写真では、21ミリとか18ミリとかもっと広角が欲しくなってきますが、コンデジというコンパクトなカメラというコンセプトでは28ミリが妥当なのかもしれません。

それからF2.8という明るいレンズが採用されていることも見逃せません。

XF10は絞り優先モードで撮影することができますので、絞りをF2.8の開放にし、APS-Cのメリットを活かしてメインの被写体以外をぼかす様な撮影も可能となります。

デジタルテレコン(クロップモード)

デジタルテレコンが分からない方に簡単に説明しますと、テレコン(テレコンバーター)はカメラのレンズに被せて使う望遠側に焦点距離を延ばす補助レンズになります。

それのデジタル版、つまりデジタルテレコンは電子的なズームと理解して頂ければと思います。

ご参考までに、ワイコン(ワイドコンバーター)はテレコンとは逆で、広角側に焦点距離を近づける補助レンズになります。

デジタルテレコンは、クロップモードと呼ぶこともあります。

XF10は有効画素数2424万画素あるため、デジタルテレコンの35ミリ、50ミリで拡大撮影しても解像がそれほど落ちないと思われます。

話しを元に戻しますと、XF10は28ミリの単焦点レンズなのですが、デジタルテレコンで35ミリと50ミリの画角の撮影が可能となっています。

それとXF10の特徴として、このデジタルテレコンの切り替えが、レンズ付近にあるギザギザのリング状の部分で行えることです。

あたかもズームレンズで焦点距離を調整するかのような感覚で使う事ができます。

デジタルテレコンが登山で活躍するシチュエーションとしては、被写体に近づけない時に焦点距離を変えて撮影することになりますが、例えば、山頂の頂上標で記念撮影をする際に、頂上標付近で飯を食っている邪魔な人達をフレームから外したい時、頂上標に近づくのではなく、デジタルテレコンを使って邪魔なものをフレームから排除することが可能となります。

「そこで飯を食うとは教養が無い人だなぁ。邪魔だからどいてっ!」

とハッキリ言えれば良いのですが、気が小さい人は言えないですから。

撮影可能枚数330枚

サッと取り出して、パシパシっと撮影できるのが、コンデジの最大のメリットです。

XF10は撮影可能枚数330枚あるため、1分間に1枚写真を撮ったと仮定すると、5時間半も撮影できることになります。

つまりバッテリーがそれだけ持つことを意味しますので、ON/OFFを繰り返すならば、もっと撮影することができるでしょう。

日帰り登山では、予備のバッテリーを持参しなくても十分と考えられます。

その他

FUJIFILM XF10の実売価格について

XF10の発売が2018年8月23日ですから、現在(2020年4月29日)で概ね1年8か月経過しています。

定価はオープン価格となっていますが発売当初は税込み6万円程度でした。

現在は5万円程度かと思います。

実売価格は下記ショッピングサイトで確認してみてください。

まとめ

APS-CコンデジのFUJIFILM XF10を登山観点で分析してみましたが、イメージセンサーが大きく、28ミリの広角でF2.8と明るいレンズが採用されていること、撮影可能枚数330枚であることで、登山で使用しても良い仕事をしてくれること間違いないと思います。

登山に持って行くコンデジを考えていらっしゃる方、ミラーレスが欲しいけどちょっと高級だなぁと迷っていらっしゃる方などなど、FUJIFILM XF10も検討のテーブルに乗せてみても損はしないと思います。

防塵防滴モデルではないため、登山の様なアウトドアフィールドで使用する場合は、突然の雨で濡れてしまうリスクが伴うことはお含みおきください。防水のポーチなどがあれば不安を払拭できると思います。

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