牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)は、「ふりがな」が無いと読めませんよね。
しかし、この山は日本一名前の長い山であるということ、渡り鳥の雁が腹をこするようにしてここを越えていったことから「がんがはらすり」と呼ばれるようになったということを知ると、山好きのあなたなら、もう名前を覚えることができたことと思います。
かつ、この山の南東方面には、岩倉具視の500円札の富士山の撮影地として有名な「雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま」があります。余談となりますが、笹子トンネル付近に「笹子雁ヶ腹摺山(ささごがんがはらすりやま)」があり、雁ヶ腹摺山シリーズを1セットで覚えておくと、テスト対策になります(なんのテストか知りませんが。。。)
牛奥ノ雁ヶ腹摺山は日本百名山の大菩薩嶺と稜線で繋がっていることを知ってから、大菩薩嶺を右回りで登って牛奥ノ雁ヶ腹摺山まで稜線歩きをしてみたいと願望を持っていました。
ただし、このコースは約16kmあるため日が長い時期に行くべきだろうと感じてましたが、今回、日も長くなってきたことで決行しましたのでレポート致します。
概要
山行日付 | 2021年5月22日 土曜日 曇りときどき晴れ |
コース | 登り:上日川登山口 ⇒ 福ちゃん荘 ⇒(唐松尾根)⇒ 雷岩 ⇒ 大菩薩峠 ⇒ 介山荘 ⇒ 石丸峠 ⇒ 小金沢山 ⇒ 牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂 下り:牛奥ノ雁ヶ腹摺山 ⇒ 小金沢山 ⇒ 石丸峠 ⇒ 小屋平 ⇒上日川登山口 |
時間 | スタート:午前 7時10分 ゴール :午後15時41分 |
駐車場 | 上日川第1駐車場(15台程度) 上日川第2駐車場(45台程度) 上日川第3駐車場(60台程度) ※いずれも無料 上日川登山口、福ちゃん荘付近、介山荘付近に公衆トイレあり |
日帰り温泉 | 大菩薩の湯 国道411号(大菩薩ライン)沿い 嵯峨塩鉱泉 嵯峨塩館 県道218号(大菩薩初鹿野線)沿い レトロな宿だが日帰り入浴可能 |
登山ルート図(出典:国土地理院 地理院地図Vector)
山行記録
私は、大菩薩嶺を登るのは今回で5回目になります。この山を登ったことがある人はご存じと思いますが、この山から見る富士山はスゴク綺麗です。遠すぎず近すぎず、かつ富士山手前の山々が良い感じに富士山を綺麗に見せてくれて、心が洗われた様な感覚になります。
今回の目的は、綺麗な富士山を見ることも1つですが、牛奥ノ雁ヶ腹摺山まで稜線歩きをすることが主の目的になります。
今回もカメラはRICOH GR3を使ってます。GR3を切り口としたレポートは、RICOH GR3で行いますので興味のある方はご覧ください。
さて、山行記録のレポートです。
大菩薩嶺の代表的な登山口である上日川登山口(かみひかわ)から登山開始します。登山口には赤い屋根が特徴の「ロッジ長兵衛」があります。宿泊、食事ができますが、私は未だ利用したことがありません。
車のナビで「ロッジ長兵衛」を行先に設定すると良いと思います。
写真↑の建物の手前のアスファルトを右に進むと登山口があります。
ロッジ長兵衛から30メートル程進むと写真↑の様な分岐があります。これはどちらを選んだとしても最終的に福ちゃん荘で合流します。
私はビブラムソールを擦り減らしたくないため、左手の土の道を選びました。
ロッジ長兵衛から25分ほど歩くと福ちゃん荘に到着します。土の登山道を登ってくると、写真↑の様な感じの場所に至り、福ちゃん荘の敷地の中に突入する感じでビビるかもしれませんが、建物の間をすり抜ける様に進めば大丈夫です。
アスファルトの道とは、建物の間をすり抜けた先で合流します。福ちゃん荘には売店もありますので、冷えた炭酸でシュワシュワした飲み物とかを下山後に飲むのは最高だと思います。
今回のルートですが、写真↑をご覧ください。
左下の福ちゃん荘から唐松尾根を登って「雷岩」に行きます。そこから写真右上の小金沢山まで稜線歩きをします。目指す牛奥ノ雁ヶ腹摺山は小金沢山の次の山になりますが、この案内図には載っていません。
下りは、牛奥ノ雁ヶ腹摺山から石丸峠に戻り、そこから写真右下の小屋平を経由してロッジ長兵衛に至るルートになります。
大菩薩連嶺案内図の左側に写真↑の唐松尾根の分岐点があります。
ここを進んで行きます。
唐松尾根の前半は、全体的に写真↑の様な感じで多少の傾斜はあるものの比較的平らです。
平らであってもマイペースで登ることが重要です。何といっても今日のコースは約16キロも歩くため、体力、脚力は温存しておく必要があります。
唐松尾根の後半は写真↑の様な急登になります。
私が大菩薩嶺を登った過去4回は左回りのため唐松尾根は下りに使い、急な下りだった記憶がありますが、登りで使った感想としては、筑波山の白雲橋コースの傾斜を少し強くしたような感じでした。
とはいえ、先を見据えて、ここもマイペースで登っていきます。
唐松尾根の後半を登り初めて20分程度、福ちゃん荘から1時間程度で写真↑の雷岩に至ります。写真左手に進むと10分程度で大菩薩嶺山頂に至りますが、山頂は木々に囲まれており眺望ゼロです。
今回は大菩薩嶺山頂を踏まずに写真右手に進みます。ちょい進んだところに岩があり、そこから富士山の眺望が良いのですが、雷岩の分岐の写真でもお分かりの通りガスっていて何も見えませんでした。
雷岩から少し下ったところにある神部岩付近からの写真↑です。かろうじて大菩薩湖が見えます。天気が良ければ写真左上付近に富士山が見えるはずなのですが、真っ白です。
写真右手方面に青空がちょっとだけ顔を見せたので、手前のガスの動きも速いことから休憩兼ねて少し待機することにしました。
だんだんと手前のガスが少なくなり、15分程度経過したところで、富士山の山頂付近が顔を出してくれました。
タイムラプスで撮っておけば感動的、いや神々しいシーンを収めることができたのになと思いましたが、後悔先に立たずってやつです。ん?覆水盆に返らずが正しい?
国語の問題はさておき、富士山ビューを楽しめたので先に進みます。
ぐいぐいと先に進んで行くと、賽の河原(さいのかわら)に至ります。避難小屋がランドマークになります。突然の大雨、雷などが発生した場合は、ここに逃げ込みましょう。山での雷はイナヅマが横に走るといわれており、超おっかねぇです。くれぐれもカーボン製のストックを天に向けて掲げることだけは絶対に避けてください。
「賽の河原」って名称は色んな山にもありますよね。大体が少し広くなっていて石が積んであり、似たような感じです。
賽の河原の先をちょい登ると、富士山ビューが堪能できる「親不知ノ頭(おやしらずのあたま)」に出ます。そこを左手に下ると大菩薩峠に至り、写真↑の様に正面に熊沢山、その手前に介山荘(かいざんそう)が見えてきます。
熊沢山の先に見える山が小金沢山で、牛奥ノ雁ヶ腹摺山はさらに向こうにあり写真↑では見えません。
大菩薩峠を下り、介山荘の屋根付きの建物の間を通過すると、隣に休憩所&トイレの建物(写真↑)が出てきます。この建物の手前右側を下ると表登山道に出て、福ちゃん荘に至ります。
今回は小金沢山方面に行くため、この休憩所を右手に見ながら直進します。
介山荘から小金沢山方面に進んで行くと、今までの爽快な稜線歩きとは異なり、写真(↑)の様な樹林帯に入ります。美しいコケが、北八ヶ岳や甲武信ヶ岳を彷彿とさせてくれます。
樹林帯が開けて明るくなると、そこが熊沢山山頂(写真↑)です。
山頂からはスキー場の様な光景が広がっており、目の前は中級者コースの様な急な下り、その先に笹の原っぱという感じの石丸峠(左右に分岐した登山道が見える)、さらにその先には笹に覆われた天狗棚という名の山が見えます。
さらにその先、写真↑では右上に小金沢山が見えます。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山はさらに向こうになります。先は長いです。
石丸峠に降り立つと、周り一面が笹で覆われているのが良くわかります。
笹の中には鹿道というかケモノ道がありますが、人が歩く登山道がしっかりと整備されているため、間違えることは無いと思います。
小金沢山方面に向かい直進します。
天狗棚の先は写真↑の様な「狼平」と呼ぶ笹原になっており、笹の中を歩く爽快な稜線歩きを楽しめます。
写真の撮影時刻は午前10時12分ですが、この日は早朝まで雨が降っていたため、東側斜面から雲が沸き上がり始めてきました。
狼平の爽快な歩きを過ぎ、小金沢山の登りに差し掛かると再度樹林帯に突入します(写真↑)。
熊沢山の樹林帯とは異なり、木の根っこと岩がゴツゴツしており、かつ倒木も多数あり歩きにくい登山道になります。
また、登山道がしっかりしてないため、ピンクリボンと踏み跡をよく確認して進むようにした方が良いです。
登山道の傾斜が少なくなり歩きやすくなってくると、まもなく小金沢山の山頂に至ります。
山頂標には写真↑の様にQRコードがついてましたが、試してないので何が見られるのか分かりません。気になりますよね。
秀麗富岳十二景と謳われているので、天気が良い日は富士山がキレイに見えるのでしょうが、この時は曇天のため何処に富士山が見えるのかも分かりませんでした。
小金沢山の短い下りを進み、少し歩くと写真↑の様な平らで爽快な笹原の登山道になります。
ご覧の様に登山道は整備されているため、鹿道に紛れ込むことはありません。
小金沢山から概ね30分程度で牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂に到着します。こちらの山頂標にもQRコードがありました。何が見られるか気になりますね。
曇天のため富士山がどこに見られるのかは、サッパリ分かりませんでした。
それと、山頂はドッチボールができる位の広さがあり、シートなどの座れるものを持参すれば休憩することができます。
暗くなる前に下山する必要があるため、休憩も程々にして下山を開始します。
下山は、登りの道をピストンで石丸峠まで戻ります。
小金沢山を過ぎ、狼平まで戻ってきた時の一枚↑です。
スキー場みたいですよね。
手前が天狗棚、左奥が熊沢山です。石丸峠は天狗棚と熊沢山の間にありますので、もう少しです。
石丸峠の分岐は「上日川峠」方面に進みます。
ここから先は、初めのうちは平らな登山道ですが、途中から急な下りになります。
上日川峠方面に進んだところから振り返り、狼平方面を撮った写真↑です。
写真右上のピークが小金沢山。
この写真で見える稜線をずーっと歩いてきたと思うと感慨深くなります。
石丸峠の分岐から約25分程度歩くと、写真↑の様な林道に出ます。
林道に出たら右に進み、約150メートル先に分岐があるので、その分岐を上日川峠方面に進みます。
道標は見やすい位置に立っているため、道迷いの心配は無いと思います。
先ほどの林道分岐から15分程度下ると小屋平に出ます。
路線バスの通る県道があり、小屋平バス停が目の前にあります。
このアスファルトの県道を右手に進んでも上日川峠(ロッジ長兵衛前)に行きますが、県道を渡った先に続く登山道を進んでも上日川峠に行きます。ビブラムソールを擦り減らしたくないため、登山道を選択します。
県道から5分程度下ると、写真↑の様な沢を渡渉する場所に至ります。
水量はそれ程ありませんが、ぐらつかずに頑丈そうな岩を選んで渡ります。
私は、写真左手の方から渡りました。
写真↑の様になだらかな登山道が続きます。
私の前後には登山者が居なく、静かな山歩きを楽しめました。
登山道はしっかり整備されているため、道迷いの心配はありません。
なだらかな登りを進んで行くと、右側上方に写真の様な人工物が見えてきます。
これは県道脇の上日川の駐車場になりますので、これが見えたらゴールは直ぐそこです。
まとめ
約16キロと距離があるため疲労感がありますが、爽快な稜線歩きを楽しめた良い一日となりました。
小金沢山の樹林帯の中の木の根っこと岩が危険個所として挙げられますが、全体的に歩きやすい登山道ですので、日の長い時期に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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