冬の低山登山の必需品である軽アイゼン、チェーンスパイクの選び方とおすすめモデル

基本装備
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 冬の低山でも登山道に積雪があったり凍結している箇所があることは普通です。3月~4月頃の2,000m級の山でも残雪や凍結している箇所があるのが普通です。その様な登山道を歩く時の必需品が「軽アイゼン」や「チェーンスパイク」になります。どちらも収納時はコンパクトになり軽量であるため、積雪や凍結の心配がある登山に行く場合は、常にザックに携行しておくことをオススメします。
 「軽アイゼン」とは、主に4本爪(鋼の爪が4本)と6本爪のアイゼンの事を言います。どちらも登山靴の土踏まずを中心とした位置に取り付け、ナイロンバンドと金具で固定するだけなので脱着は比較的簡単です。10本爪、12本爪の前爪がビンビンと突き出し、鋼の爪が長いアイゼンもありますが、これらは本格的な雪山登山向けになり、低山では爪が長くて岩に引っ掛けてバランスを崩すリスクがあり向いていません。
 「チェーンスパイク」とは、軽アイゼンよりも短い爪がチェーンに複数(10本以上)付いており、登山靴に装着すると靴裏全体に爪がある感じになります。形状としては、合成ゴムなどの伸縮性の高い素材が円形(輪)になっており、そこにチェーンが複数個所で繋がっています。登山靴への装着は、イメージとしては靴下を履くように合成ゴムの輪に登山靴を差し込む感じです。つまり合成ゴムの張力でチェーンを登山靴に括り付けています。
 ここでは「軽アイゼン」「チェーンスパイク」のメリット、デメリットを整理し、おすすめ商品のご紹介を致します。冬の低山でも命に係わる装備になりうる事をご理解頂き、安全な登山を心がけていただければと思います。

 余談となりますが、「クランポン」という言葉を聞くことがあります。これは「アイゼン」と同じものを指しますが、アイゼンはドイツ語、クランポンは英語という語源の違いがあります。調理器具を「コッヘル(ドイツ語)」と読んだり「クッカー(英語)」と呼んだりするのと同じです。

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軽アイゼン、チェーンスパイクのメリット、デメリット

 冬の低山向け装備の一つとして4本爪アイゼン、6本爪アイゼン、チェーンスパイクというカテゴリがありますが、それらにはメリット/デメリットがありますので、ここで一度整理しておきます。

カテゴリメリットデメリット
4本爪アイゼン・軽い、小さい
・装着が簡単
・爪が土踏まずのみのため、傾斜があると爪先、踵の安定感に欠ける
6本爪アイゼン・やや軽い
・4本爪に比べ接地面が多く安定している
・傾斜が強いとつま先に爪が無いため安定感に欠ける
チェーンスパイク・靴裏全体に爪があり安定している
・収納時は6本歯アイゼンよりコンパクトになる
・合成ゴムの張力で固定されるため、傾斜があるとズレが生じる
・爪が短く小さいため、深い雪では威力を発揮しない

 いくら低山といえど雪山(凍結路含む)では安定感が重要です。私Kazupikotが考える軽アイゼンの選択基準としては「6本爪アイゼン > チェーンスパイク > 4本爪アイゼン」になります。

 始めて軽アイゼンを購入される方は、6本爪アイゼンを選ぶのがベストチョイスと思います。安定性があると安心感が増して心に余裕を持つことができます。ちなみに6本爪アイゼンの大きさは、概ねハガキ程度なので携帯性は悪くはないです。

 ちなみに私Kazupikotは、10年ほど前になりますが携帯性を重視して4本爪アイゼンを購入してしまいました。冬は低山のみで、良く行くのが筑波山になり、4本爪アイゼン使用時には記載したデメリットを感じますが、怖い思いをしたことは無いです。ただし歩き方にコツが必要で、アイゼンが利いている状態を感じながら歩くと良いと思います。

 最近のチェーンスパイクは性能的にも向上しているようです。平坦な登山道を歩くならチェーンスパイクがベストチョイスと言えますが、平坦な登山道ってそんなに無い訳で、傾斜があるとゴムが伸びてズレを生じるデメリットがどこまで改良されているのかが気になるところです。足裏全体に爪がある安心感は重要だと思います。情報発信する私Kazupikotとしては、実際に使ってみてインプレッションする必要がありそうですね。

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6本爪アイゼンのおすすめ

アイゼンの脱着が簡単で、品質が信頼できる商品をピックアップしています。

mountain dax マウンテンダックス 6本爪アイゼン HG-120

 Made in Japanの信頼性の高い6本爪アイゼンです。幅調整が不要なモデルであり、また、収納ケースに装着方法が図で記載されているため、久々にアイゼンを使う事になっても迷うことなく装着できます。
 私Kazupikotは、マウンテンダックスの4本爪アイゼンを持っていますが、6本爪アイゼンを購入するならば、迷わずこのマウンテンダックスの6本爪アイゼンにします。理由は作りがしっかりしている点が一番になります。

【材質】 炭素鋼
【サイズ】フリー
【重さ】 452グラム(両足合計)
【その他】収納ケース付き

エキスパート・オブ・ジャパン SP(超)リトルベアー卍 ST31

 こちらもマウンテンダックス同様、Made In Japanの6本爪アイゼンになります。注目すべきポイントは、アイゼンの爪角度で特許を取得しており、氷雪を確実に捉えることができる点です。緩斜面でも雪や氷の上を歩く時は、爪の食い込みが悪いとバランスを崩す要因にもなり、安全歩行の妨げになります。安全歩行の妨げになるということは、気を使いながら歩く事に繋がり、それが疲労になります。
 クロムモリブデンン鋼を使用しており、この素材を使用することで強靭性が高くなります。強靭性が高いと安全歩行にも繋がります。なお、クロムモリブデン鋼をアイゼンに使用しているのは、世界でも数社のみになります。

【材質】 クロモリ鋼
【サイズ】フリー
【重さ】 505グラム(両足合計)
【その他】爪高31ミリ、収納ケース付き

エバニュー EVERNEW 6本爪アイゼン EBY014

 エバニューの6本爪の特徴は、アイゼンの取り付けがバックル式であることです。バックル式の良いところは脱着が簡単になり、また、手袋をした状態でもアイゼンを簡単に装着できることです。登山あるあるになりますが、3月、4月頃は登山道に残雪が有ったり無かったりし、雪が無い場所では登山道を痛めないためにもアイゼンを外す必要が生じます。このアイゼンの脱着が頻繁にあると、脱着が簡単なアイゼンにしておけば良かったと思うことがあります。
 手袋をしたままアイゼンの脱着ができることは、煩わしさから解放され良いと思います。

【材質】 炭素鋼
【サイズ】S(22.0~24.5cm) L(25.0~28cm)
【重さ】 S/500グラム L/520グラム(両足合計)
【その他】収納ケース付き

チェーンスパイクのおすすめ

ヒルサウンド HILLSOUND トレイルクランポン

  私Kazupikotの気になる一品! チェーンスパイクでありながら、前用プレートに6本、後ろのプレートに4本の爪があり、見るからに食いつきと安定感がありそうな作りになっています。足の甲に当たる部分にはベルクロのバンドがあり、これを締め付けることでチェーンスパイクと靴のフィット感が向上し、チェーンスパイクのデメリットである「ズレ」が抑えられます。
 山と渓谷12月号のホーボージュンさんのインプレッションでも高評価でした。

【材質】 スパイク: 熱処理済 S50C Carbon Steel、ハーネス:Elastomer
【サイズ】XS(22~24cm) S(24~26cm)  M(26~27.5cm)
【重さ】 S/448グラム M/460グラム(両足合計)
【その他】刃10本(鋼鉄製)

カンプ CAMP アイスマスター 5917300

 前用のプレートに6本、後ろ用のプレートに4本の爪があり、足の甲部分にベルクロのバンドが付いており、先に照会したヒルサウンドのトレイルクランポンとほぼ同じ設計になっています。そうすると、シリコンバンド部分の伸縮性というか登山靴への固定性能がどちらが優れているのかが気になるところです。登山靴の固定性能については、実際に履いてみてレビューをしてみないと分からないですね。

【材質】 スチール/シリコン
【サイズ】SS(22.5~24cm)グレー、M(24.5~26cm)オレンジ、L(26.5~28cm)レッド
【重さ】 S/455グラム M/478グラム、L/495グラム(両足合計)
【その他】収納ケース付き

4本爪アイゼンのおすすめ

mountain dax マウンテンダックス 4本爪アイゼン HG-121

 現在私Kazupikotが使用しているモデルになります。マウンテンダックスのアイゼンの特徴は、Made In Japanであり信頼性が高いことがあげられます。4本ある爪のうち、後ろ側の2本が長くなっており、土踏まず部分に装着した際のグリップが向上する設計になっています。
 6本爪アイゼンと同じく収納ケースに装着方法がイラストで記載されており、久々に使用する場合でも迷うことなく装着することができます。
 なお、4本爪アイゼンを選択するメリットは軽量で収納時に小さくなることであるため、安定性を求める場合は6本爪アイゼンまたはチェーンスパイクをお勧め致します。

【材質】 炭素鋼
【サイズ】フリー
【重さ】 180グラム(両足合計)
【その他】収納ケース付き

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